おじさん行政書士・FPです。
それではタイトルの件のまとめです。
1.遺贈には2種類ある(特定遺贈と包括遺贈)
2.特定遺贈は包括遺贈に比べてシンプル
3.ただし遺留分は気をつけて
4.やっぱり『根回し』が大事
それでは本文に行きます。
まず『遺贈』には2種類あります。
『特定遺贈と包括遺贈』です。
(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
包括遺贈については以前こちらに書いたので、よろしければどうぞ👇
まず『包括遺贈』のブログでも書きましたが、
『遺贈』とは何ぞやです。
『遺贈』とは、遺言状によって相続人や相続人以外の者に財産を贈ることです。
そして上の表にある通り、『包括遺贈』は割合で贈り、『特定遺贈』は財産を特定して贈ります。
『特定遺贈』は、相続財産を割合で贈る『包括遺贈』に比べてシンプルです。
贈る財産が特定されているので、『包括遺贈』のように、『負債も財産と一緒くた』に贈られることは、基本的にないです。
負債を特定して贈られてはたまりません。
そして、遺言状の効力が発生した時点で、その『特定された財産』は、『遺産分割協議』をするまでもなく、『受遺者(贈られた人)』の物になるので、『遺産分割協議』に参加する必要もありません。
ただし、各種名義変更の手続き等で、本来の『相続人等(遺贈義務者)』との協力が必要となります。
相続人の協力が期待できない場合には、『遺言執行者』を選任しておいた方が良いかもしれません。
『特定遺贈』の放棄についても、『包括遺贈』のように家庭裁判所をとおす必要はありません。
相手方『相続人』や『遺言執行者』に伝えるだけでOKです。(通常は内容証明等を使います。)
(ただし相続人等遺贈義務者や利害関係人から、遺贈を承認するか放棄するか聞かれたら、速やかに解答しましょう。
承認する気が無くても、承認したことになってしまいます)
(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条 遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
以上のことから、『特定遺贈』の方が、贈られる側にとっては、『包括遺贈』より負担が少ないと思います。
ただ何点か注意が必要で、そのうちの1つが『遺留分』です。
相続人には『遺留分』があります。
もし、『特定遺贈』によって、他の相続人の『遺留分』を侵害してしまった場合は、「遺留分侵害額請求」をされて、面倒なことに巻き込まれる可能性があります。
『遺留分侵害額請求』を簡単に言うと、
相続人「あんた(受遺者)に遺贈されたせいで、私の相続分が法律で保障された額以下になりました。ですから法律で保障された額までお金を払ってください」
ということです。
非常に面倒なので、他の相続人に対する『遺留分』は確保するようにすべきです。
2点目は、相続人以外に遺贈されたのが不動産の場合、『不動産取得税』がかかる可能性があります。
さらに、『遺言状』でいきなり知らない人に『遺贈』するなんて書いてあったら、相続人にしてみればたまったものではありません。
『遺言執行者』がいても、もめそうです。
以上の事から、やはり『遺贈』を考えている場合は、『受遺者』や『相続人』に対してしっかり根回しが必要であると思います。
この考えは、『特定遺贈』でも『包括遺贈』でも変わりません。
ご自分の死後、財産を『遺贈』したいと普通は考えません。
よほど思うところがあるのだと思います。
ですから、自分の死後、なるべくもめることが無いように『根回し』しておき、自分の財産を、なるべく早く有効利用してもらえるように手を打っておくべきだと思います。
はい、今回はここまでとなります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回書いたことが、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは失礼します。