それではまず、タイトルの件のまとめです。
1.遺贈には2種類ある(包括遺贈と特定遺贈)
2.包括遺贈受遺者は相続人とほとんど同じ
3.包括遺贈の放棄は家庭裁判所に手続き必要
4.遺贈するときは『根回し』が大事
それでは本文に行きます。
まず『遺贈』とはなんぞやです。
『遺贈』とは、遺言状によって相続人や相続人以外の者に財産を贈ることです。
ちなみに『相続』とは、遺言状の有る無し関係なく、民法の規定にそって、ある意味自動的に、法定相続人に財産が移動します。
相続人にも遺贈はできますが、税金や登記等で『遺贈』より『相続』のほうが有利な為、『相続人』なのにわざわざ『遺贈』される意味は薄いと思います。
ただし例外が最近できたので、今後別の機会に書きたいと思います。(配偶者居住権等)
それではタイトルにある、『包括遺贈』についてです。
『遺贈』には2種類あります。
『包括遺贈』→割合で財産を贈られる。
『特定遺贈』→特定の財産を指定して贈られる。
例えば遺言状に、
「〇〇銀行の〇〇〇○口座の預金をAに遺贈する。」
と書かれていれば、
財産が特定されているので『特定遺贈』です。
そうではなくて、
「相続財産の2分の1をAに遺贈する。」
と書かれていれば、
割合なので『包括遺贈』です。
包括遺贈の場合のAさん(包括受遺者といいます)は、相続人でなくても『相続人』と同じような立場に立ちます。
(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
相続自体は、被相続人が亡くなった瞬間に発生し、相続人みんなで法定割合どおりに共有します。
亡くなった方の財産が、持ち主なしの状態で中に浮くことはありません。
法律で2分の1相続する。
遺言で2分の1贈られる。
包括受遺者には、相続人に対する遺留分のようなものはありません。
ですが、他の『相続人』にしてみれば、相続人が一人増えたようなものです。
ですから、他の『民法上の相続人』と一緒に『遺産分割協議』を行い、具体的な財産の配分を決めます。
参加する方は、結構な負担かもしれません。
そして、『包括受遺者』は『相続人』と同じような立場に立つため、当然負債も『包括遺贈』されたことになり、はっきり言ってありがた迷惑になる場合もありえます。
このような場合に備えて、相続放棄と同じような手順で、その遺贈を放棄をすることもできます。
(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
具体的には、3ヶ月以内に家庭裁判所に手続きです。
以上の事から、もし『遺言状』で誰かに包括遺贈を考えているのならば、相続人や包括遺贈の受遺者に、『根回し』はしておく必要があると思われます。
何も聞かされてなく突然、『包括遺贈の受遺者』にされても、普通の人は何が何だかわからないです。
相続人にとってもビックリです。
まぁ『遺産分割協議』は揉めると思います。
『相続税』の問題もありますし。
ですから遺言状で『遺贈』を考えている方は、よくよく考えて、根回しもちゃんとしてから、行うほうが良いと思います。
はい、今回はここまでとなります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回書いたことが、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは失礼します。