それではタイトルの件、書いていきたいと思います。
まず『遺言執行者』は、遺言の内容を実現する人です。
それと同時に、ご遺族(相続人)の負担を減らす人です。
多くの方は、相続の当事者(ご遺族・相続人)となることはめったにありません。
おじさん自身も業務では色々やってますが、当事者(遺族・相続人)になったこと自体は2回(両親が亡くなった時)しかありません。
ですから多くのご遺族(相続人)が、専門家と言われる方に、それ相応の報酬を支払って、相続手続きを依頼します。
『遺言執行者』を遺言状で指定しておくということは、相続手続きの依頼を、自分が生きているうちに、自分の信頼できる人に、しておくということです。
別の言い方をすると、
『遺言状で自分の財産の処分方法を決め、そして同じ遺言状で自分の財産を実際に処分してくれる人も決めておく』ということです。
このこと自体は、当事者(ご遺族・相続人)にとって悪いことではないと思います。
そんなわけでちょっと『遺言執行者』に関する条文(民法)を見てみたいと思います。
こちらは遺言状での指定ヴァージョンです。遺言状の形式は問いません。
(遺言執行者の指定)
第千六条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
はい、自分で『遺言執行者』を指定するだけでなく、信頼できる第三者に「僕に何かあったら、遺言執行者を指定してください」と、委託(お願い)しておくこともできます。
遺言執行者の指定にしても、指定の委託(お願い)にしても、その当事者とはしっかりと話をしておいた方が良いと思います。
なぜならいきなり指定されても普通は困ってしまいますから。
「いくらあいつの頼みでも・・・無理。」と、なりかねません。
いくら遺言状で指定しても、相手側にも断る自由はあります。
そしてこれは自分の死後の事ですが、
(遺言執行者の任務の開始)
第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
『遺言執行者』となったことをどこかの公的機関に届け出ることは必要ありません。
その代わり、他の相続人には遺言の内容をしらせなければなりません。
もう一つ、家庭裁判所選任ヴァージョンです。
(遺言執行者の選任)
第千十条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
こちらの選任も自分の死後に遺族がやることです。
『遺言執行者』として指定を受けていた方が、すでに亡くなっていたり、その方に断られてしまった場合が考えられそうです。
ではここで、『遺言執行者』になれない人も書いておきます。
(遺言執行者の欠格事由)
第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
はい、『遺言執行者』になるのに難しい資格は必要ありません。
私自身が今この時自分の遺言状を書くとしたら、知り合いの行政書士に執行者になってもらいますが(報酬も遺言状に書いておきます)、別に知り合いの相続手続き経験者や、極端な話『息子』や『かみさん』等のバリバリの相続人でも構いません。
そして『遺言執行者』の権利義務です。
(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
遺言状を作成して亡くなった方の最後の意思を実現するために、強い権利そして義務があります。
最後にこの条文です。
(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
おじさんの『遺言執行者』についての考え方は最初に書いた通りです。
実際に遺言状を残す方というのは、そんなに多くいません。
そんな中、遺言状をしっかり残される方というのは、自分の死後に強い思いがある方だと思います。
そういった方の最後の望みを実現するためなので、
『遺言執行者』には、ある程度強い権限が与えられています。
ですから、自分の最後の望みを順調にかなえるためにも、ご遺族の負担を少しでも減らすためにも、義務ではありませんが、遺言状を書いたら『遺言執行者』も指定しといたらより良いと思います。
最後になりますが『遺言執行者』がいないとまずい場合もありますので、それに関しては後日まとめて書いてみます。(遺言状での認知とか廃除とかです)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回書いたことが、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは🙋