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社会保険労務士・FP行政書士の宮腰です。物を書くのが好きで始めました。マイペースで投稿していきますので、よろしくお願いいたします。

2024年1月16日火曜日

時々あるご相談。 離婚時の年金分割制度について『合意分割制度と3号分割制度』

こんにちは。

今回は、 離婚時の年金分割制度について書いてみたいと思います。

タイトルにもあるように時々ご相談を受けます。

私自身、両親が家庭内別居状態にあり、子供心に「早く離婚してくれ」と思っていたので、そういった意味で興味のある制度となります。


はい。

早速ですが、年金分割制度は以下2つに別れます。

1.『合意分割制度』・・・共働き世帯・期間に対応。

2.『3号分割制度』・・・配偶者の扶養に入ってる世帯・期間に対応


そして細かいことですが、年金分割は正確な表現ではありません。

正確には、『婚姻期間中の厚生年金保険の保険料納付記録の分割』です。

つまり、婚姻期間中に払った毎月の保険料やその期間の記録を二人で分ければ、結果的に年金額も分割されるということです。

「婚姻期間中の保険料は夫婦二人で協力して払った」

という立て付けです。


この事を踏まえて、まず1番の『合意分割制度』について以下に書いてみます。

合意分割制度の基本です。


①分割できるのは、厚生年金保険部分(一般的に会社員の給料天引き部分)です。

基礎年金部分は分割対象ではないので、婚姻期間中ずっと自営業の方は対象外です。

②分割できるのは、平成19年4月1日以降に離婚した場合です。

これより前に離婚していても、さかのぼって適用はできません。

③離婚等から2年を経過していないこと。

いわゆる、時効的なやつです。

④按分割合が合意してること。

基本的には分割割合は50%ずつが上限ですが、少し細かい制限があるので、年金事務所に、具体的な金額等の問い合わせが必要です。そして最終的にはお互いの合意が必要です。

補足です。

①について、分割できるのはあくまで婚姻期間中の部分です。

つまり、婚姻期間が長いほど分割できる記録が長くなり、結果的に分割できる金額も上がります。

④について、年金分割の手続きは年金事務所で行います。

市役所ではないので、注意が必要です。そして年金事務所では、まず基礎年金番号を聞かれますので、年金手帳や基礎年金番号通知書を用意しておきましょう。(ひも付けの済んでいるマイナンバーでもいけるかもしれません)。


上に書いた基本①~③がクリア出来ているのであれば、年金事務所に相談に行き、④を含めて、実務的な説明を受けましょう。

特に『合意分割』では、元夫婦間の合意の証明に、公証人に間に入ってもらう必要があるため、時間がもったいなければ、専門家に依頼するのもありかもしれません。


次は2番の『3号分割制度』についてです。

『3号分割制度』の基本です。


①分割できるのは、国民年金の第3号被保険者であった期間です。

分かりやすく書くと、離婚した元配偶者の扶養に入っていた期間です。


②分割できるのは、平成20年4月1日以降に離婚した場合に、平成20年4月以降から元配偶者の第3号被保険者(扶養に入っていた)であった期間の年金記録です。


③離婚等から2年を経過していないこと。

『合意分割制度』と同じです。


④按分割合の合意は必要ありません。

第3号被保険者であった人からの請求で、年金記録は2分の1ずつに分割されます。


補足です。

④について、第3号被保険者とは扶養に入っている状態ですので、厚生年金保険料を納付してません。つまり、離婚をしてしまうと、第3号被保険者は、年金の2階部分の厚生年金の受給ができません。それでは「婚姻期間中の保険料は夫婦二人で協力して払った」という立て付けに反してしまいます。その為、第3号被保険者期間の年金記録は合意なく分割できます。

ただし、②にあるように期間の制限があり、平成20年4月より前の期間は『合意分割』しかできません。ちょっと面倒です。

『合意分割制度』と同じように、①~③がクリア出来ているのであれば、年金事務所に相談に行き、実務的な説明を受けましょう。

『合意分割制度』にしても『3号分割制度』にしても、細かい決まりがあるので(元配偶者が障害年金を受給している等)しっかり説明を受けましょう。

場合によっては、とりあえず年金事務所に電話でも良いかもしれません。


まとめます。

『合意分割制度』は共働き世帯・期間対応
お互いの年金記録を足してから分けるイメージ。
合意が必要。


『3号分割制度』は扶養に入っている世帯・期間対応

扶養に入っていた人の請求で、元配偶者の年金記録を半分ずつにするイメージ。
合意不要。


はい、いかがだったでしょうか。

ちょっと長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

分かりにくいところあるかもしれませんが、御容赦いただければ幸いです。

それでは失礼します。