今回は、『相続の欠格事由』について書いていきたいと思います。
『相続の欠格事由』とは、これに当てはまると、相続人でありながら法律上当然に相続人になれない人です。
まず、『相続の放棄』や『相続人の排除』との、それぞれの制度の違いですが、
『相続の放棄』は、相続人が自分で「相続しません」と、意思表示をします。
『相続人の廃除』は、被相続人が自分で「この人には相続させたくない」と意思表示をします。
『相続人の廃除』場合の、最終的な決定権は裁判所ですが。
それに対して『相続の欠格事由』に当てはまる人は、法律上当然に相続人になれません。
そこに意思表示はありません。
そういう意味で意思表示の有る無しが、それぞれの制度の大きな違いでしょうか。
ちなみにその『意思表示』は、裁判所に行います。
よろしければこちらもどうぞ👇👇👇
それでは、具体的な欠格事由を書いてみます。
と言っても、そんなに多くはありません。
まずは条文です。
（相続人の欠格事由）
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
出典：e-Govポータル （https://www.e-gov.go.jp）
以下に私なりに解説を書いてみます。
その一 被相続人（亡くなって相続される人）を殺害した人や、殺害しようとした人は相続人になれません。
また、被相続人だけではなく、自分より相続順位が高い人や、同順位の人を殺害したり、殺害しようとした人も同様です。
私、２時間ドラマが大好きなのですが、そのドラマでたまに出てくる、いわゆる『遺産目当ての殺害』を行った人や行おうとした人は、相続人になれません。
その二 被相続人が殺害されたことを知っていたのに、告訴とか告発をしなかった人も相続人になれません。ただし、小さい子どもとか、いわゆる知的に十分でない方は除外されます。それと犯人が自分の旦那や妻・子どもや孫の時も除外されるようです。
犯罪を知っているなら警察に届けましょうということです。犯罪を届け出なかったり、犯人を庇うような人は、相続人になれません。
でも、すごい身近な家族については大丈夫なようです。確かに自分の子どもを警察に突き出すのは、心情的に難しいのかもしれません。
その三 被相続人が、遺言状を書いたり変更したりするのを、詐欺や強迫で妨げた人
その四 被相続人に、詐欺や強迫によって遺言状を書かせたり、変更させた人。
遺言状に関して、被相続人を騙して内容を変えさせたり、無理やり書かせたりしてはいけません。こういう事をする人は、相続人になれません。
その五 被相続人の遺言を、偽造・変造・破棄・隠匿した人。
遺言状を勝手に書いたり、遺言状を捨ててはいけません。こういう事をする人は相続人になれません。
以上が『相続欠格事由』の中身になります。
ドラマではないので、殺人事件はそんなに起きないと思いますが、遺言状関係は巻き込まれることがあるかもしれません。
念の為、頭の片隅に置いておいても良い知識かもしれません。
はい、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はこれで失礼いたします。