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社会保険労務士・行政書士の宮腰です。ものを書くのが好きで始めました。マイペースで投稿していきますので、よろしくお願いいたします。

2026年6月8日月曜日

払えないときこそ、放置しないでほしい ― 障害年金・遺族年金と保険料納付要件

※本記事の作成にあたり、文章の構成・推敲等に生成AIの支援を受けています。記載されている法令や制度等の内容については、執筆時点の情報を基に筆者自身が責任を持って確認・監修を行っております。

年金と聞くと、多くの方が「老後に受け取るもの」を思い浮かべるのではないでしょうか。「どうせ自分が受け取る頃には、もらえないのではないか」という声も、よく耳にします。

ですが、公的年金は老後のためだけの制度ではありません。むしろ私は、年金とは「遠い将来」よりも「近い将来」に備えるための保険なのだと考えています。今日は、そのことについて書いてみたいと思います。

1.年金には三つの顔がある ― 老齢・障害・遺族

公的年金には、大きく分けて三つの役割があります。

  • 老齢年金:年を重ねたときに受け取る年金
  • 障害年金:病気やけがで障害が残ったときに受け取る年金
  • 遺族年金:亡くなったときに、遺された家族が受け取る年金

老後の備えという話になりがちですが、障害年金と遺族年金は、年齢に関係なく、いつ必要になるか分かりません。つまり、年金は「何十年も先」のためだけでなく、「すぐ先の生活」を支える保険でもあるのです。

このうち遺族年金について、もう少し補足します。遺族年金にも二つの種類があります。一つは、国民年金から支給される遺族基礎年金です。これは、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が対象になります(子は、原則として18歳になった年度末まで。障害のあるお子さまの場合は20歳未満まで)。もう一つは、厚生年金から支給される遺族厚生年金で、こちらは生計を維持されていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母の順に優先順位があります)が対象です。

なお、遺族厚生年金については近年、制度の見直しが行われ、2028年(令和10年)4月の施行が予定されています。特に、これから受給することになる若い世代や、お子さまのいないご夫婦に関わる変更が含まれます。ご自身に関係しそうな場合は、最新の情報をご確認ください。改正の内容そのものは、いずれ別の記事で改めて整理したいと思います。

年金にまつわるお金の面で、知っておいていただきたいことが二つあります。一つは、税金の扱いです。障害年金と遺族年金は、所得税などの課税対象になりません(非課税)。一方で、老齢年金は雑所得として課税の対象になります。同じ年金でも、扱いが異なる点です(国民年金法・厚生年金保険法・所得税法などの規定によります)。もう一つは、金額です。これらの年金の額は固定されているわけではなく、物価や賃金の変動に合わせて毎年度改定されます。具体的な最新の金額は、日本年金機構のホームページなどでご確認ください。

私自身、かつて多くの方が亡くなる大病を経験しました。幸い命はとりとめましたが、もし結果が違っていれば、今ごろ家族が遺族年金を受け取っていたかもしれません。そして実際に、私はその病気で障害厚生年金を受給することになりました。年金が「近い将来の保険」だというのは、私にとって実感のともなう話です。

2.「払えないとき」こそ、放置しないでほしい ― 免除・猶予という選択肢

保険料を納めるのが難しい時期は、誰にでも起こりえます。失業、収入の減少、病気。そうしたときに一番避けたいのは、手続きをせずに未納のまま放置してしまうことです。

国民年金には、収入の状況に応じて保険料の納付を免除したり、納付を先送りにしたりする制度があります(国民年金法に基づく免除や猶予の制度)。経済的に苦しいときは、未納のままにせず、まずはお住まいの市区町村や年金事務所に相談していただきたいと思います。

正直に申し上げると、私自身も過去に、この免除制度のお世話になったことがあります。だからこそ、「払えないなら放っておくしかない」と諦めてしまう前に、使える制度があることを知っておいてほしいのです。そして次の章でお話しするように、この「免除を受けておく」という一手間が、いざというときに大きな意味を持ってきます。

3.障害年金・遺族年金に共通する「保険料納付要件」

ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。

障害年金は、障害の状態でありさえすれば誰でも受け取れる、というものではありません。受け取るためには、保険料納付要件という条件を満たしている必要があります。原則は次のとおりです。

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が、3分の2以上あること。

ここで注目していただきたいのは、免除を受けた期間は「未納」として扱われないという点です。免除期間は、この3分の2の判定において、納付済期間と同じようにカウントされます。第2章で「免除の手続きをしておく意味がある」と申し上げたのは、このためです。

なお、原則を満たせない場合でも、特例があります。初診日において65歳未満であり、初診日が令和18年(2036年)3月末日までにあるときは、初診日の前日において、直近1年間に保険料の未納がなければよい、とされています(直近1年要件)。

ただし、いくつか注意していただきたい点があります。

  • この保険料納付要件は、障害の重さに関係なく、満たさなければ受給できないという厳しい条件です。どれほど重い障害でも、要件を満たさなければ受け取れません。
  • 一番の盲点は、これらの要件を「初診日の前日」の時点で満たしている必要があるということです。体調を崩して受診した後に、慌てて未納分を納めたり免除を申請したりしても、その期間は要件には反映されません。
  • 一部免除を受けながら、残りの保険料を納めていなかった場合などは、未納扱いになります。
  • ご自身の納付記録は、ねんきん定期便だけでは正確に判断できないことがあります。実際の請求にあたっては、必ず年金事務所で正式に確認することをおすすめします。

そして、ぜひ知っておいていただきたいのは、この保険料納付要件は、遺族年金にもほぼ同じように設けられているということです。障害年金が「初診日」を基準にするのに対し、遺族年金では「死亡日の前日」が基準になりますが、亡くなった方が納付要件を満たしていなければ、遺された家族が遺族年金を受け取れないことがあります。

つまり、未納のまま放置せず免除や猶予の手続きをしておくことは、障害年金だけでなく、遺族年金という「遺された家族のための備え」を守ることにもつながるのです。

4.初診日に「どの制度にいたか」で結果が変わる ― 当事者として

もう一つ、当事者として実感していることがあります。それは、初診日にどの年金制度に加入していたかで、結果が大きく変わりうるということです。

会社などに勤めて厚生年金に加入している期間(国民年金の第2号被保険者)は、保険料が給与から天引きされます。そのため、原則として、この期間中に初診日があれば、保険料納付要件を満たすことができます。さらに、初診日が厚生年金加入中であれば、障害基礎年金に上乗せされる障害厚生年金の対象にもなり、より軽い等級(3級)や障害手当金といった給付の道も開けます。

一方で、自営業や無職などで国民年金第1号被保険者だった期間に未納が重なっていると、いざ初診日を迎えたときに納付要件を満たせず、障害年金を受け取れないことがあります。同じ病気、同じ障害でも、初診日の時点の状況ひとつで結果が分かれてしまうのです。

正直に申し上げると、私の場合は、たまたま厚生年金に加入している期間中に初診日がありました。給与天引きで保険料が納められていたため、納付要件で悩むことはありませんでした。これは、私が制度に詳しかったから得た結果ではなく、当時の働き方による巡り合わせに過ぎません。

だからこそ、お伝えしたいのです。いつ初診日を迎えるかは、誰にも選べません。そして先ほど触れたとおり、保険料の納め方が問われるのは「初診日の前日」まで――何かが起きてからでは間に合いません。だからこそ、納められるときには納め、納められないときには未納のまま放置せず、免除や猶予の手続きをしておく。元気なうちのその一手間が、将来の自分や家族を守る、確かな備えになります。

5.まとめ ― 公的年金は「近い将来」のための備え

公的年金の将来については、さまざまな議論があります。ですが、老後の何十年も先のことだけを考えて「払う・払わない」を判断するのは、少しもったいないと感じます。

年金は、病気やけが、万一のときといった「近い将来」に、自分や家族を支えてくれる保険でもあります。そして障害年金にも遺族年金にも、保険料の納め方が問われる、という共通の一面があります。だからこそ、保険料を納めるのが難しいときほど、未納のまま放置せず、免除や猶予の制度を使っていただきたいと思います。

私自身が障害年金を受給するに至った経緯は、別の記事「障害年金の受給者である社労士の話」に詳しく書いています。また、受給後の更新手続きについては「障害年金の更新手続きについて」でも綴っています。あわせてお読みいただければ幸いです。


今回はここまでとなります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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